普通に公共料金といった場合「電気、ガス、水道」と言いますから、ガス料金が公共料金であるという誤解が広まることは無理もないことですが、実際に全く同じ熱量を出した場合、プロパンガス料金は都市ガスの料金に比べ1.5倍~2倍くらい高くなります。
普通の買い物の場合、ほとんど同じ商品なのにお店が違うというだけで2倍も高かったら、誰も高いお店から商品を買う人はいませんよね。
しかし、プロパンガスの場合、そもそも自分が払っているガス料金が高いとも思っていないため何の疑問もなくこの高いガス料金を支払っているのが現実です。
集合住宅のプロパンガス料金は一戸建ての料金より約30%割高になると言われています。その理由についてまとめました。
集合住宅のプロパンガスの料金は、一戸建てに比べて約30%程度割高になると言われています。その理由の1つは、集合住宅にガスを提供するガス会社を決めるのは大家さんが決めることにあります。
基本的に大家さんは入居者に安くプロパンガスを利用させることよりも、自分の利益を優先する傾向があります。結果的に入居者にとって割高なガス料金を設定する会社を選ぶ傾向があるからです。
入居者がガスを使える状態にしておくことは大家さんの義務ですから、本来であればガスボンベやガス管、ガスメーターや給湯器の設置費用は大家さんが負担すべき費用なんですね。
仮にプロパンガスの会社がこれらのガス設備の無償貸与を行えば、大家さんが負担すべき費用はゼロ円となります。
しかし、その費用は入居者が負担すべき毎月のガス料金に上乗せされ、大家が負担しない代わりに、入居者がより高いガス料金を支払う形で負担することになっているのが現状です。
大家さんとしてみれば、ガス設備の無償貸与を出来るだけ多く実施してくれるガス会社と契約すれば、ガス設備の費用を節約が可能ですが、そのぶん入居する人が支払うガス料金は上がります。
多くの大家さんは、入居者が支払うガス料金が高くなっても、自分の負担が少なくて済むように、ガス供給設備の無償貸与を多く行う会社を選ぶ傾向にあります。
結果として集合住宅のプロパンガス料金が、一戸建てのそれよりも高くなってしまうのです。
入居者はいくらガス料金が高いと思っても、好き勝手にガス会社を変更することができません。
一戸建ての住宅に住んでいる方は、プロパンガス料金が高すぎる場合、より安い料金でガスを提供するガス会社に切り替えることが可能ですが、集合住宅の場合、ガス会社を決めるのは大家さんです。
入居者自身も、プロパンガス料金が高い場合に、プロパンガス会社を変更することで料金の引下げが可能であることを知っている人はかなりの少数で、たいていの方は電気・水道・電話料金と同様に、プロパンガス料金も、請求された通りの金額を黙って支払うものだと思っています。
それをいいことに、大家さんに接待攻勢をかけて契約を獲得したプロパンガス会社が、不当に高い金額のプロパンガス料金を入居者に請求するという構造が出来上がりました。
こういった理由も、一戸建てに比べて集合住宅のプロパンガス料金が3割も高くなっている原因となっています。
大家とプロパンガス会社は、よく言えば、長年おつきあい、悪く言えば、結託をしています。
大家の方には、本来負担すべきプロパンガス設備の工事費をガス会社に負担してもらえるというメリットがあります。プロパンガス会社の方には、大家から、集合住宅の何十人もの入居者に自分の会社を紹介してもらい、その入居者にプロパンガスを供給し、料金収入を得ることができます。
両者の共生関係があるため、大家とプロパンガス会社は結託しやすくなり、盆暮れのつけとどけや接待で、強固に結びついています。
自分が使っている集合住宅のプロパンガス料金が他よりも高いと気が付いた入居者が、大家にその話をすると、大家が逆切れすることがあるそうです。
プロパンガス会社は、本来大家が負担すべき集合住宅のガス設備の工事費を自社が負担し、その費用を入居者が支払う毎月のガス料金に上乗せして請求します。
その結果、集合住宅のガス料金が高くなるわけですが、それを下げるということは、今度は、大家がガス設備の料金を負担しなければならなくなります。
料金の値下げ交渉を行っただけで、逆切れする大家がいるくらいですから、ガス会社を変更することがもっと困難なことは、言うまでもないでしょう。
世間慣れした大家だと、入居者からガス料金が高いとの相談があった時、逆切れはしないけれども、のらりくらりとはぐらかして、結局、料金はそのままになります。
大家とプロパンガス会社の結託が、ガス料金の値下げ交渉を阻み、それが集合住宅のガス料金が高くなる原因の一因となっています。
一戸建ての住宅であれば、プロパンガス会社が相場よりも高い料金を消費者に提示した場合、消費者は「そんな料金では高すぎるので、別の会社にします」と言えます。
しかし、集合住宅の入居者は、プロパンガス会社は大家が紹介した会社しか選べませんから、基本的には、自分でプロパンガス会社を選択できません。
高い料金を消費者に請求して、不法な利益を上げることをたくらむ悪徳なプロパンガス業者は、この関係に目を付けます。
集合住宅のプロパンガス契約を締結する権限を持つ大家は、基本的には、ガス料金を負担しません。ガス料金を払うのは入居者なので、大家はそれが高くてもあまり気にしません。
大家が気にするのは、ガス会社がガス設備の工事費を無料にしてくれるのかどうかとか、ガス会社がどれくらいの紹介料をよこすのかとか、接待があるかどうかなどです。
悪徳なガス会社は、そういった大家が気にしそうなことに気を付けて、集合住宅のガス契約をとろうとしますが、肝心の、ガス料金を安くすることにはほとんど気を使いません。
こういった特徴のある集合住宅のプロパンガス供給契約は、一戸建て住宅の契約で消費者を誤魔化せなくなった悪徳なプロパンガス会社が、狙いを付けて集まってきます。
家を決める時にプロパンガスまで意識することは難しい場合も。集合住宅のプロパンガスはダメもとで相談するしかないと思います。
もうすでに集合住宅に入居されている方がプロパンガス料金が高いと感じられている場合に、プロパンガス会社を変えて料金を引き下げることは容易ではありません。
契約しているのは入居者の方ではなく大家さんなので大家さんを説得する必要がある上、その大家さんがプロパンガス会社と結託していることが多く、説得が難しいからです。
しかし、今後集合住宅に引っ越す方であればその集合住宅で供給されるプロパンガス料金が高いか安いかを見てから、その集合住宅に入るかどうかを決めることは簡単です。
同じガス使用量でガス料金が他の集合住宅よりも5,000円安ければ家賃が5,000円安いのと同じですから、その差は決して小さくはありません。
都市ガスを供給している集合住宅に入ることができれば圧倒的に都市ガスの方が安いので、他の条件が同じであれば都市ガスが完備されている集合住宅に入るのが有利です。
ただし、都市ガス供給可能エリアは一部地域に限定されており、集合住宅に引っ越しを検討するすべての方が都市ガスが完備されている集合住宅を利用できるわけではありません。
幸いなことに、大家さんの中にもプロパンガス会社を切り替えて入居者が負担するガス料金を引き下げ、入居者を呼びこもうとされる方がいらっしゃいます。
そういった大家さんの経営する集合住宅であればプロパンガス料金も安いはずですので、入居前に大家さんにプロパンガス料金のことで相談してみるのもいいかもしれません。
プロパンガス料金が何故高いのかということを調べていくと、多くの消費者がプロパンガス料金が公共料金であると誤解していることに原因があることに気が付きます。
「プロパンガス料金が高くなる5つの理由」について解説していきます。
①消費者がプロパンガス料金は公共料金だと勘違いしている
まず第一に、プロパンガス料金は公共料金ではありません(都市ガスは公共料金となっています)。
公共料金だと消費者に価格交渉の余地はないので、請求された料金を黙って支払うほかはありませんし、ガス料金が高いと思ってもガス会社を自由に変更することはできません。
その一方で、公共料金の決定は政府が関与しますから不当な料金設定が行われることはありません。
プロパンガス料金は公共料金ではないので、消費者は料金が高いと思ったら値下げ交渉ができますし、ガス会社を自由に代えることができます。しかし、多くの消費者がプロパンガスは公共料金で、料金がどんなに高くても値下げ交渉はできないし、会社も変更できないと誤解しています。
都市ガス料金の相場の2倍近い料金を設定しても消費者は黙って支払う人がほとんどです。
②プロパンガスの請求書が詳細でない
プロパンガスの料金請求書の多くは、画像のようにガスの消費量と請求額の記載しかありません
(出典:https://www.survive-m.com/kounetsuhi/121.html)
このタイプの請求書だと、プロパンガス1㎥を使うとガス料金がどのくらい上がるかを示す従量単価が分かりません。従量単価が分からないので、ガス会社は消費者に気が付かれないようにして従量単価を上げることができます。一部のガス会社はこれを利用して価格を不当に釣り上げてきました。
ガス会社が従量単価を上げて料金が上がっても、消費者は「今月はガスを使いすぎたのかな」と思う程度で、それがガス会社の不正な値上げによるものだとは分かりません。
プロパンガス料金の請求書が詳細でないと、ガス会社が消費者の知らないところで従量単価を釣り上げるという不正が横行し、プロパンガス料金が高くなる一因となります。
③プロパンガス業界は供給業者が価格協定を結んでいる
プロパンガスを供給する会社は全国に約21,000社あると言われています。
そのうち77%に相当する約16,000社は従業員1人~6人の企業、また全体の62.5%が顧客750件未満の企業という統計結果が出ています。つまり、零細企業の割合が非常に多いということがわかります。
(詳細は⇒https://www.propane-npo.com/)
プロパンガス会社は零細企業が多く、大量仕入れができませんので、零細企業のプロパンガスはどうしても料金が高くなります。一方、大手のプロパンガス会社は大量仕入れが可能ですのでガスを安く仕入れることができ、より安い料金でプロパンガスを販売することができます。
普通の業界では大手プロパンガス会社が安く料金で販売するので、零細企業の市場シェアと企業数は減少していきます。しかし、プロパンガス業界では大手プロパンガス会社が、高コスト体質の零細企業に合わせてわざと高い料金で消費者にガスを販売しています。
これは、傘下の零細ガス会社の顧客を奪わないようにし、傘下の会社を守るという一面もありますが、この価格協定がプロパンガスの料金水準を引き上げています。
④平均相場だから安心だという誤解が広がっている
一般財団法人・日本エネルギー経済研究所・石油情報センターのホームページなどから、プロパンガスの平均価格(相場価格)は簡単に調べることができます。
自分が支払っているプロパンガス料金が高いのか安いのかを調べるときは、こういった平均相場を調べます。その相場とだいたい同じ水準の価格であれば、自分が支払っているガス料金は平均的な水準だと安心します。
しかし、実はこの平均相場が高すぎる(最高で都市ガスの2倍程度の料金)のです。プロパンガス料金を、公共料金である都市ガスの料金計算の際に使用される方法と同じ方法で計算した場合には、都市ガス料金の1.1倍程度となるそうです。
自分が支払っている料金が平均相場並みだからと言って安心していると、長期間にわたってガス会社にぼったくられることになります。
平均相場だから安心という誤解が、高すぎる料金に対して消費者がクレームを入れる機会を失わせ、それがプロパンガス料金が高くなる原因となっています。
⑤メンテナンス費用や運送費がかかる
都市ガスの場合、ガスの本管から住宅にガス管を引く工事が必要なため初期費用が高くなりますが、その後のメンテナンス費用は低額になります。一方、プロパンガスの場合には初期費用はそれほど高くなりません。
しかし、定期的にガスボンベを交換しなくてはならないので、メンテナンス費用(人件費等)がかかります。加えて、プロパンガスは都市部から遠く離れた山間部や農村地帯の利用者も多く、その場合には運送費が高くなります。
そういった費用がかかる分それは当然料金に反映されますので、都市ガスと比較した場合にプロパンガス料金は高くなります。
ただし、そういった運送費や人件費がかかることを考慮しても、プロパンガスは都市ガスの1.1倍程度の水準が妥当であると言われています。
プロパンガス料金には不透明な部分が多く、そのために数多くの誤解が存在しています。プロパンガス料金を高くする原因の多くは、その誤解に端を発しています。
最近は、インターネット上などでプロパンガス料金に関する情報の公開が盛んに行われていますので、そういった誤解を解くチャンスは大きく広がっています。
プロパンガス料金を引き下げる行動の第一歩は、この誤解を解くことです。
集合住宅の場合は、プロパンガス会社の変更はハードルは高いですが、変更することは可能です。お住まいのガス代が高いとお悩みならば、プロパンガスの料金比較サイトに相談してみるのが一番です。
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