多くの消費者はプロパンガスは公共サービスであると誤解しており、これを利用して一部のプロパンガス会社は長年にわたり不当な価格協定を結び利潤を上げてきました。
つまり、プロパンガスの場合、消費者は供給業者を自由に選ぶことができますし、料金交渉も可能です。
プロパンガス料金が都市ガスよりも高い理由は、プロパンガス会社が互いに価格協定を結んで、零細な会社でも生き残れるような高い料金設定を行っているからです。
都市ガスは公共サービスなので供給業者を自由に変更できませんし、料金についても供給業者が一方的に決めて消費者に価格交渉の余地はありません。
このページでは長年にわたり不当な価格協定を結んできたプロパンガス業界の特徴についてわかりやすく解説します。
プロパンガス料金は火力の違いを考慮しても、都市ガス料金の1.5倍~2倍は高いと言われています。
プロパンガス料金が高い最大の原因
プロパンガス業界ではプロパンガス会社同士が価格協定を結ぶことが当たり前になっていたからです。
価格協定があるとプロパンガス料金は、高コスト体質の零細のプロパンガス会社が経営を維持できる価格水準(適正な水準からすると30%程度高い)に設定されます。
大量仕入れによりプロパンガスを安く仕入れることができる大手プロパンガス会社は、本当はより安い料金(適正価格)で消費者にガスを販売できます。
しかし、そうすると系列の零細ガス会社が食べていけなくなるので、そういったガス会社のお客を奪わないようにわざと高い値段でガスを販売します。
他の業界では政府や消費者からクレームが入るのでこのような価格協定は行われません。
しかし、プロパンガスは公共料金であるという誤解が広がっていたため、消費者からクレームが出にくく、それをいいことに平気でこのような価格協定が行われていました。
全国には約21,000社のプロパンガス会社があると言われています。そのうちの約77%に当たる16,000社は従業員が1名から6名の零細企業です。また、全体の62.5%が、顧客数が750件未満の会社となっています。
プロパンガス業界では、上位3社の販売量が市場全体の販売量に占める割合は13.5%と低い数字となっています。従って、プロパンガスの多くは大手企業ではなく、中小・零細企業によって販売されていることになります。
企業名 | 販売量 | シェア |
---|---|---|
第1位 岩谷産業 | 1,376,000トン | 7.06% |
第2位 エネサンスホールディングス | 635,000トン | 3.26% |
第3位 日本瓦斯 | 620,000トン | 3.18% |
第4位 伊藤忠エネクス | 569,000トン | 2.92% |
大手石油会社の販売量については2014年度版LPガス資料年報(石油化学新聞社出版)を、シェア計算の基礎となる販売総量は2015年度版日本LPガス協会統計資料を用いました。
零細企業が残ったのは価格協定のため
大手プロパンガス会社は、プロパンガスを大量に仕入れて仕入単価を下げることができるので、安い価格でプロパンガスを供給できます。
一方で、零細な会社だとプロパンガスの購入量が少ないために仕入単価が高くなり、それを反映して消費者に請求するガス料金が高くなります。
プロパンガス料金は自由料金ですので、大手プロパンガス会社が安い値段で消費者にプロパンガスを販売することができないことはありません。
しかし、大手ガス会社が消費者にプロパンガスを販売する際には、わざと零細のプロパンガス会社の販売価格に合わせて適正水準よりも高い価格を設定しました。
大手プロパンガス会社が安い価格でガスを販売すれば、零細なガス会社は顧客を奪われて経営が成り立たなくなり、最終的には倒産してしまいます。
公正な価格競争が行われていれば当然倒産しているはずの零細なプロパンガス会社が、競争が制限されていたためにこの業界では多数生き残っています。
この他、プロパンガス業界には他人の顧客を取らないという習慣があります。
その習慣によって、プロパンガス料金が高いからいってガス会社を切替えようとしても、変更先のガス会社が新規契約を拒むということもあるようです。
このことも、プロパンガス料金が適正な水準よりも高くなる一つの原因となります。
昔は個人経営の駄菓子屋さんや雑貨店がどの街にもたくさんありましたが、現在は大手のコンビニやスーパーにほとんどが置き換えられました。しかし、ガス業界では競争制限があったのです。
小売業界で公正な価格競争が行われた結果です。もし、小売業界もプロパンガス業界のように競争制限が行われていたら、多くの零細小売店が残っていたでしょう。
全国展開するイオンなどの大規模小売店が、地元の零細商店に合わせて商品の値段を高く設定していたら、現在でも地元の商店街は昔と変わらなかったでしょう。
プロパンガス業界では、大手プロパンガス会社は零細業者の経営破たんを防ぐという名目で、自分が直接消費者にガスを売る場合には適正な水準より高い値段を付けました。
そうすることで、零細小売店は自分の顧客を奪われることはないし、大手ガス会社の方も価格操作だけで利潤が増えるので、双方にメリットがありました。
技術革新や経営革新等の正当な努力の結果利潤が増大するのはよいことですが、価格操作によって利潤を上げることは、結局消費者がツケを払うので望ましいことではありません。
小売業界において競争制限が行われて零細な個人経営の商店が多数生き残っていれば、供給者側にとっては自分のお店が潰れないのですから当然メリットはあります。
しかし、消費者の側からすると値段は高いしサービスは悪いしデメリットの方が多いでしょう。
現在、それらの零細小売店はほとんどコンビニやスーパーに置き換えられていますが、そのおかげで、消費者は安価な価格と多様で便利なサービスを享受できています。
プロパンガス業界には、大手ガス会社が零細ガス会社に合わせてわざと高い料金を設定しているため、価格競争が起こらず平均的なガス料金が高くなるという特徴があります。
大手ガス会社が本来の安い水準でプロパンガスを消費者に販売していれば、零細なガス会社は経営が成り立たず倒産してしまいます。
しかし、消費者の立場からするとより安いガス料金で利用できるようになるというメリットがあります。
高コスト体質のガス会社が多数生き残ることは、供給側としては会社が倒産せずに存続するのでメリットがありますが、そのツケは高いガス料金を負担する消費者が負います。
プロパンガスの周囲の環境が一昔前のまま永久に続くのであれば、このまま価格競争を制限し零細企業を温存し高いプロパンガス料金を消費者に請求し続けても大丈夫でしょう。
しかし、オール電化の普及でプロパンガスから電力に家庭で使うエネルギーを切替える動きも活発化しています。
また、2017年4月に都市ガスが自由化され、都市ガス料金も公共料金(規制料金)から自由料金に変更されます。
こういったプロパンガスの代替エネルギーの変化で、プロパンガス業界が古い体質のままでは、顧客を都市ガス会社や電力会社に奪われてしまう状況となりつつあります。
昔、スーパーなどの大規模小売店が進出する際、昔からの零細商店の組合が顧客を奪われるからといって反対することがよくありました。
大規模小売店の進出がないと、地元の商店主たちは顧客が奪われないのでよいのですが、町全体が遅れてしまい大規模小売店が進出した隣町に顧客を奪われてしまいます。
プロパンガス業界内にも、古い体質を是正しないと他の代替エネルギーに消費者を奪われてしまうという危機感が広がったようです。
最近はインターネットで、プロパンガス会社を切替えてプロパンガス料金を引き下げる手続きを支援するサイトがたくさん出ています。
この動きは、高い料金がガスを販売する会社から、価格操作を止めて適正な価格でガスを消費者に販売することに合意した会社に、ガス契約を切り替えるというものです。
プロパンガス会社を切り替えてガス料金を下げる運動は、プロパンガス業界に対して公正な価格競争を導入するきっかけとなるでしょう。
関連記事⇒プロパンガスの適正料金とは何か?|適正料金の調べ方教えます
プロパンガス切り替えサイトの普及でプロパンガス業界は変わる!
公正な価格競争が実現すれば、そういった悪しき習慣が廃除されプロパンガス業界の体質が他の代替エネルギーに負けないようなものに強化されます。
高すぎる料金の他にも、ガス会社の料金請求書を見ると、電気・水道・都市ガス・携帯電話等のそれと比べると古くさくてだいぶ見劣りがします。
長年にわたる不適切な取引慣行によって他のサービスと比較して時代遅れとなってしまった感のあるプロパンガス業界ですが、今後は改善されていくことが期待できます。
プロパンガス切り替え支援サイトの普及は公正な価格競争を推進し、プロパンガス業界の体質改善に貢献するでしょう。
プロパンガスで多い契約トラブル
プロパンガスの契約トラブルで実際に多いのが、こういった「契約した時は安かったけれど、半年で急激な値上げをされる」という問題です。(国民生活センターの記事はこちら⇒)
プロパンガスの料金比較サイトの「エネピ」は、不当な値上げがないように監視してくれる、「エネピあんしん保証」があります。
ご契約後に万一「値上げ行為」があった場合はガス会社との連絡対応サポート
さらにご契約後1年以内の「値上げ」はいかなる理由があっても差額分相当を補償
参照:エネピ公式サイト「あんしん保証の詳細」ページはこちら>>
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詳しい内容はこちら⇒エネピの口コミ・評判・特徴・対応エリア・保証サービスまとめ
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